2006年 02月 01日
現在の惨憺たる経済状況は予測されていた


98年に発行された 岩波ブックレット458 『規制緩和 何をもたらすか』(内橋克人,ジェーン・ケルシー,大脇雅子,中野麻美 著,1998年)からの抜粋文です。1998年の時点で現在の惨憺たる経済状況が予測されております(「規制緩和」イコール今で言うところの「構造改革」ということでしょう)。
http://eba-www.yokohama-cu.ac.jp/~kogiseminagamine/20030310MSDokUchihashiBassui.htmより

(以下引用)
すり替えられた規制緩和 内橋克人 より
 恋愛は美しき誤解によって成立し、結婚は真実を見る目によって破壊されるといいますが、日本におきましては規制緩和に関しましても、美しき誤解によって、一世を風靡しやがて地獄を見ることによって初めて人々はその本質を知ることになるのではないでしょうか。
(中略)
戦後、わが国におきましては、経済民主主義が大変強調されてまいりましたけれども、現実には、今に至るまで官僚独裁、行政独裁の構造が大変長く続いてきました。何事も官僚、行政の裁量下にありまして、民は官のお伺いを立てなけれぼ物事を成すことができない状況です。こうした現実へのアンチテーゼとして、真の意味での民主的な社会を再構築するには、何よりもまず、行政官僚が掌握しておりました権力を民に再配分することが至上命題であり、規制緩和はそのための方策なのだ、と私たちは説得されてきました。

 ところが、官から民へ、という権力の再配分の向かう先は、民は民でも市民ではなく巨大な民間企業に権限を移そうという方向であり、それがあっという間に進んでしまいました。国家権力の再配分先には市民はいうまでもなく、中小零細企業も、中小零細な商店も入っておりません。つまり規制緩和によってダメージを受ける当事者がすべて排除されたまま政策プログラムは進んでいるのです。その本質を一言で申しますと、いま進みつつある規制緩和とは経団連傘下にある巨大なる企業にとっての企業行動完全自由化要求運動にほかならないというべきです。経団連とは、いうまでもなく、五五年体制下の自民党支配を政治献金などによって支えた財界の組織です。私はこの現実を「すり替えられた規制緩和」と呼んでおります。

ニュージーランドで何が行われたか ジェーン・ケルシー より
 彼らは、ニュージーランドの13年にわたる規制緩和は成功だったと主張します。しかし、誰のための成功だったかは語りません。ニュージーランドの規制緩和は、資産家と、企業と、外国投資家のエリート層にとっては、間違いなく成功でした。しかしニュージーランドの一般大衆にとっての規制緩和の実態は、これとはまったく異なったものでした。規制緩和の犠牲になった人々は、大きな対価を支払わされました。とくに、マオリ族(ニュージーランドの先住民)、女性、子どもたち、高齢者は深刻でした。しかし、被害を受けたのはこれらの人々だけではなく、社会そのものが犠牲になったのです。伝統的な価値観は退けられ、共同体意識は利己的な個人主義にとって代わられました。
(中略)
 聞くところによると、現在日本では規制緩和への大きな力が働いていて、多くの人々は規制緩和を良いことだと信じているようです。とくに、官僚があまりに力を持ち過ぎていると大方の人々は考えています。しかし、大切なことは規制緩和とは官僚から市民に権力を移すことではないということを理解することです。それは、社会のエリート層の集団内での権力の移動であり、個人や市民のコントロールの及ばない経済エリートと世界市場の手に権力を与えることを意味しているのです。規制緩和は市民の力を強めるのではなく、資本と市場を強化するのです。これこそがニュージーランドの経験でした。
(引用以上。太字・傍線=当ブログ管理者)

 下記リンクは昨年5月に発売された、上記の内橋さんと佐野 誠さんによる「ラテン・アメリカは警告する」の書評です。
http://www.janjan.jp/world/0505/0505086791/1.php
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4794806434.html
現在進められている、「改革」の先に待つ暗い未来に、負けることの無い希望を見出すヒントになるかもしれません。

アメリカがタイでやってきた「構造改革」
http://tanakanews.com/e0108thai.htm

お膝元中南米でアメリカは‥
http://tanakanews.com/f0306LaAm.htm

 タイや中南米で行ってきたのと同じことを日本で進めているアメリカ。生み出される利権に群がる政治家、官僚、企業によってそのイカサマぶりが隠蔽させられている。
 郵貯の民営化で郵貯の資産300兆円は、日本国債より利率のいい米国債や、民間ファンドへ流れる。代わりに現在郵貯によって購入されている約100兆円の日本国債が売られる。買手が見つからない場合、国債の暴落による経済の混乱が招かれ、困窮した日本を、アメリカおかかえのIMFが「救済」にやってくる。「管財人」IMFは、かつて長銀をリップルウッドが買い叩いたように、日本国内のめぼしい資産を外資に格安で売り払う。
 以上のように日本の乗っ取り、日本の国力を叩き潰すというのが今進められている「構造改革」という名のアメリカのシナリオでしゃないでしょうか?
 アメリカのやり口というのは、戦前の日本やヨーロッパのように、領土を植民地にするのではなく、その国の中枢や文化を支配する、いわばソフトに対する植民地政策で、その利点は、その国が必要なくなったら、無駄な戦争もせずにすぐ逃げられるし、かつてのヨーロッパや日本のような「邪悪な帝国主義」とは別物であると内外に認識させられるという一石二鳥なのでは。実態は20世紀後半型帝国主義でしかない。 それもかなりタチの悪い…。

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by darsana-te2ha | 2006-02-01 01:01 | お金、政治


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