2007年 02月 24日
恩を仇で返すが如き(ーー;)、キヤノンはじめ経団連の面々を中心とした企業トップの方々。
 今や日本を代表する企業として、世界的にも評価の高いトヨタやキヤノンetc..。只、歴代の経団連会長も務めてきたかの会社のトップの方々のお考えを拝聴するに、グローバルに勝負をする為には、日本国内の他者=特に下請け中小企業や労働者たちが痛い目にあおうが、国内経済が疲弊しようが、自分たちの会社が国際競争で勝ち続けることこそが第一だ、みたいな意思がぷんぷんしてますよね。

 只これらの会社が発展成長してこられたのは、個々の企業の技術力や努力も勿論ありましょうが、戦後の国策によって官民あげて保護され盛り上げてもらったことが大きいのではないんでしょうか? 実際トヨタが発展してこれたのも、国をあげてのモータリゼーションの進展という基盤があったからこそです(おかげで、それまで国内の陸上交通の基幹であった鉄道は官民共に軒並み赤字となり地方を中心に多くが廃線に追い込まれ、今やバス会社までもが自治体からの援助無しではやっていけないような有様ですけどね)。

 皆さんご存知なように、前職のトヨタの奥田会長に引き続き、現在、経団連の会長をつとめてらっしゃるのはキヤノンの御手洗氏ですよね。
 今回の派遣労働者の規制撤廃要求のように、新自由主義的なグローバル経済化を一層推し進めようとしている彼の言説を聞いていると(私が如き市井の人間にはわからないことが色々おありなんでしょうが)、おや?と違和感を感じてしまうことがたびたびあります。
 会社の創立や発展は日本で行なわれたわけですが、今や株主の50%以上が外国人だというし、実質、無国籍・多国籍企業になってしまったってことなんでしょうか? 兎に角、国内経済イジメをこれでもか、と押し通そうとするその姿勢には疑問を感じずにはいられません。又、その財務基盤を、護送船団方式的な国策だけではなく、下記のような日本独自の慣習によっても支えられてきたであろうにもかかわらず、改革を声高に叫び続け、日本独特の商慣習や人々の共同体のあり方を否定・批判する姿勢を貫いていらっしゃる御手洗氏。正に日本に対して恩を仇で返しているが如き視野狭量に陥っているのではないかと危惧せざるを得ません。

「暇つぶしの時代-さよなら競争社会」 橘川幸夫著 平凡社刊 p65~70より引用
 低迷する家電業界を尻目に、キヤノンとリコーだけは、独走する長距離ランナーのようにピッチを下げることなく前進していく。確かにマスコミが語るように、キヤノンとリコーの経営努力や、デジカメのヒットなどといった要因があることは否定しない。しかし、経営努力はどこの企業でも血の出るほど苦労を重ねているわけだから、この2社だけが、特別に努力しているのだとは思えない。

 なにか一般的な家電業界にはない、特殊な利益構造があるのだと思う。それは間違いなく複写機である。(中略)
 複写機を個人で使えるようになると、個人表現のメディアの幅がぐっと広がるなと思っていた。しかし、その最大のネックは保守契約料である。(中略)

 機械が未成熟で、しかも少量生産のものであるなら、メンテナンス保守料というビジネスモデルがあってもよい。しかし、複写機がこれだけ普及して一般的な商品になっているのに、依然として、メンテナンス保守料というのが成立しているのはどういうことか。販売した機械が故障したら、一定期間はメーカーが責任を持って修理するのが当たり前のことで、メンテナンス費用得雄ユーザー徴収するのはふざけている。いわば、情報社会の関所みたいなものを作って、通行料を取るみたいなものだ。しかも、カウンターの利用確認は、電話一本で利用者に行なわせる。

 こんな馬鹿げた制度が存続しているのは、日本だけである。アメリカではとっくになくなっている(引用者注:コピー機の保守管理料というのはアメリカでゼロックスが最初に始めたものだそうです)。だから、アメリカ市場で活躍していたミノルタやコニカの複写機ビジネスは、利益を生むことなく合併に追い込まれ、国内市場で十分に体力をつけたキャノンとリコーが、アメリカでも成長を続けているのだろう。

 もちろん、キャノンもリコーも、自ら「メンテナンス保守料」を撤廃しましょう、などと言うわけがないし、企業論理としては、現状の利権構造を死守しようとするのは当然のことだと思う。キヤノンなどは、パソコンのプリンターが普及しつつある時に、複写機と同じメンテナンス料金を徴収しようと試みたが、さすがにこれは普及しなかった。だから、同じ原稿を複写機でコピーするよりも、プリンターで打ち出したほうが保守契約料がない分、安いのである。

 こうした利権構造を成立させている事態の責任は、誰にあるのか。僕は、日本の企業や自治体の総務部にあると思う。総務部は徹底的な前例主義で、前任の指示通りに物事を進め、後輩に引き継ぐことだけが役割だと思っている。私企業の内部の役所みたいなものである。出入り業者は、一度決めたら余程のことがない限り、変更することはない。それは、出入り業者から賄賂を貰っているということではなく、別の業者を採用すると痛くない腹を探られるし、新しい取引先が倒産などの事故を起こすと、変更した者の責任になるからである。

 自社内の無駄遣いには極端に厳しい企業の総務部が、外部の不合理性については「他社もそうだから」と無視を決め込んでしまう、悪しき村意識そのままの体質に原因があると思うのだ。保守契約料と同じく、キヤノンとリコーの大きな収益源となっている複写機の消耗品の購入についても、企業の総務部は、一度決めた業者を変更したがらない「ことなかれ主義」の典型である。

 複写機の利益構造は、メンテナンス保守料と用紙やトナーなどの消耗品販売にある。これは、ネットワーク・ビジネスなどでよくある浄水器のカートリッジ交換と同じで、一度、複写機を購入すれば、機械があるうちは永遠に顧客だから儲かる。用紙やトナーなどはデフレ時代で、どこも大幅な価格低下が起きているのに、総務部は、相変わらず「出入り業者」から高い消耗品を購入している。

 複写機のメンテナンス保守契約料などという制度はおかしい、と、僕みたいな個人が叫んでも解決にならない。大口の利用者である事業法人が、自らの利用コスト削減を検討すれば、当然ぶちあたるはずのテーマなのである。人件費のような、目に見えやすいところでの社内リストラには関心度の高い企業が、どうしてこうした社会的に不合理な問題に手をつけないのか、不思議で仕方がない。まるで、自分の家の中だけでは横柄になれる亭主関白か、内弁慶の子どもみたいではないか。

 先日も書いたように、自企業だけが勝ち残り、日本国内のその他大勢がどうなっても良いが如き、自己中心的な考え・行動をとっていると、今後自らの首をも絞めることになりかねませんよね。
 グローバルな多国籍企業もいいでしょう。それならそれで、日本を利用するだけ利用し、おいしいとこはそのまんま、みたいな、日本人に対して甘えているとしか思えないやり方は止めて欲しいと思います。
 このまま上記の企業が更なるグローバル化に邁進していくつもりであるなら、極端な話、本社を海外に移転してもらったほうが、長い目で見たとき日本にとってはプラスになるような気がしてなりません。彼らが今推し進めようとしていることは、日本経済内のトロイの木馬として内部破壊を進行させていることだと思われるからです。当ブログのサイドバーに書いた「首相官邸を在日米軍基地内に移設」と同じように、トヨタもキヤノンも、本社をアメリカか、もしくはどこかのタックスヘイブンの小島へでも海外移転させたほうが、本質が良く現れて分かりやすくなると思いますけど(笑)、いかがでしょうか?
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by darsana-te2ha | 2007-02-24 02:51 | いろいろ感想文


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