2008年 08月 26日
北京オリンピック後の世界(中国・アジア)を考えてみる。
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 先だって書いた北京オリンピック終了と、今後の中国・アジアについての考察。下記になるほどなというご意見がありました。いずれも引用が長いですけど、太字のところだけでもお読みいただければと思います。

「オン・ブック社長日記」 一週間の日記 8月11日から8月17日までより
◇中国にとって、かつて日本は、辺境の野蛮国であった。長い繁栄の歴史は、日本に技術を教え、文化を教える立場として優位にあったはずだ。しかし近代化の時代において、中国は欧米列強の植民地支配にさらされたが、島国であった日本は逆に農業封建主義から工業近代化へのシフトを上手に乗り切った。かつて属国扱いであった辺境の民が大陸を支配しようとするのと、全く見たこともない欧米人が大陸を支配しようとするのでは、中国人の受けとり方も違ったのだろう。

◇中国人はある意味、合理主義である。自分の利益になることであれば、何でも受け付ける。戦後の中国が共産主義を選択したのも、その選択だけが、欧米の植民地支配から一気に解決出来る道だったからだろう。毛沢東語録が論語になった。米ソ冷戦の中でソビエトと提携することにより、欧米のうるさいハエたちが作っていた租界地を取り戻せたのである。

◇そしてソビエトの崩壊。共産主義を内包しつつ、アメリカ型の資本主義の手法を受け入れることになった。それは中国にとって、共産主義は理念ではなくて、欧米帝国主義と対峙するための便宜的な手法だったからである。さて、これからの中国はどういう方向に進んでいくのだろうか。


◇今、日本は原油高とかで物価の高騰問題が騒がしい。政治家もマスコミも庶民も、みんな大げさに騒ぐ。しかし、ここ15年ぐらいで、あらゆる商品の価格が劇的に安くなった時、誰も、それを大げさには喜ばなかった。テレビが1万円で買え、靴下が4枚1000円で買えても、誰もそのことに感謝することなく、当然の権利のように振る舞った。その激安状況を生み出したのが中国の労働力だったのだ。

◇日本は戦後の荒廃の中「朝鮮特需」(朝鮮戦争による特需)で高度成長の基礎を作り、「ベトナム特需」(ベトナム戦争による特需)で高度成長を加速させた。そして、ここ数年は完全に「中国特需」(中国の高度成長による特需)で潤った。造船業界は現在、未曾有の発注景気にわいている。中国の貿易船の発注ラッシュだからだ。鎖国を捨てた日本の近代は、世界の動乱と繁栄をエサにして太ってきたのだ。

(中略)

◇僕はかつて京都の呉服組合から講演を頼まれたことがあったが、その時、教えてもらったのは、日本の文化的衣装であると思っていた和服が、実は「呉」の服であり、呉の時代に官僚の制服のことだということだ。著作権を守らない中国人を攻撃すると、日本人の使ってる漢字のロイヤリティはどうするのだ、と本気で言い返してくるのだそうだ。

◇2010年以降、中国がどういう方向に進むのだろうか。それはまだ中国自身にも分かっていないのだと思う。しかし、これだけは言える。アメリカの方法論は手段であって、それだけでは民族にアイデンティティを与えることは出来ない。アメリカは巨大な株式会社であって、民族的な国家ではない。中国が漢民族を中心として多数の近似的民族国家であるとしたら、その国のアイデンティテイは、自分たちで作り出さなければならない。それはハーバードでは教えてくれない。

◇天皇制も本来は中国の文化的アイデンティティであった。帝の取り合いは中国人の内戦の歴史である。中国人の気持ちはよく分からないが、貧しさから脱皮した時に人が求めるのは心の平安であり、集団的アイデンティティではないかと思う。

◇いずれにしても、20世紀の世界は一方に、他者を蹴落としてでも勝ち抜く資本主義・個人主義的な競争社会の「爽快感」と「限界性」があり、他方では腐敗する官僚主義機構が権力を牛耳った、地域的共生のための共産主義があった。この二つの立場をどうやって止揚していくのが、21世紀の最初の課題であることは、中国にとっても、日本にとっても、欧米にとっても、変わらない。


「熊谷弘オフィシャルサイト:Kuma-Log ’08日記8/15」より
ところで――。
15世紀以降の歴史を調べていて、思わぬことに気付いた。
まず、18世紀半ば、産業革命をいち早く大英帝国が、世界帝国の位置を占めるようになるのは、インドの植民地化に成功したことにある、ということだ。インドが英国の手に落ちることによって、ユーラシアの地政的関係は激的に、かつ決定的に変化した。イスラム社会も東アジア(とくに中国)も、それまではヨーロッパ社会と対等以上の力をもっていたのである。
この大英帝国の産業競争力では、実にインドに敵わなかったのである。それまでのインドの工業水準はそれほど高かったのだ。

だが英国はこれによってimitation(物マネ)、protection(保護主義)そしてmechanization(機械化)の順をふんでインド産業をノック・アウトする。


 実はこのサイクルは、米国もドイツや日本の後発国がいずれもとった戦略であり、そして大成功をおさめたのである。
そして、それまでの先進国は常に自らが優位のうちは、自由貿易を主張し、これを後発国に強制しようと努めるのも歴史が示したとおりである。

 最近のように中印が力をつけて来たことによって、上記のような欧米優勢の19~20世紀の地政学的な局面が変わりつつあるようですね。中央アジアでの混乱もそれを裏付けるものなのでしょう。今や200年前以前のユーラシア内での力関係が復活しつつある、ということかもしれません。
 足利幕府の力と権威の衰えによって始まった応仁の乱よろしく、アメリカ幕府の力の衰えで戦争が勃発してる感もあります。

 それにも関連して、下記は、最近のアメリカやイスラエルの動きを納得させられる見方です。
創業夢宿「創業夢宿ライブ『第2章 考えて“考え”を消去する』」より
軍事力も究極にいくとそれ自体の働きは崩壊するんです。政治力も究極にいくと崩壊する。もともとかけひきにならないんですよ。今の状況を見てても、経済力も究極にいくと崩壊するはずです。お金もね。誰かお金を儲けてみればわかるんですよ。どんどん儲けて、仮に何兆円、何十兆円、何十兆円のまた何兆倍儲かったら、ついには意味をなくす。いくら儲けてもある地点までいったら、もうそれ自体は資本力としても、購買力としても使えない。儲けるということは、この地球上のお金の量は有限だから、貧乏な人が増える。儲ける人が儲ければ儲けるほど、市場の購買力は下がるはずです。買う力のない人が増える。だから、お金を儲けるということは、それ自体が究極のお金儲けになった時には、効果が消えてしまう。究極の軍事力は使い物にならなくなるのと同じように。これから出てくるのは、究極のお金の力……これはもう使い物にならなくなるんです。

 北野幸伯氏によれば、アメリカはロシアに軍事予算を沢山使わせて国力を衰えさせるという、冷戦後期にソ連に対して行った戦略を考えているようですね。KGB出身のプーチンもバカじゃないので、そのへんのアメリカの意図はお見通しなようなので、アメリカに対して今後どういう反撃をするのでしょうか。また、ヨーロッパも含めた米露欧三つ巴でつぶしあいをしてると、中国が漁夫の利を得て、相対的に力をつけていくようです。
 今後、ユーラシアでの次なる覇権を狙う中国が、自国に抱えたアメリカの債権をいつ処分するのか、ってのが大きなキーポイントになるのかもしれませんね。2年後の上海万博以後、向こう3~10年くらいの間に実際に起きそうですけど、その時、世界最大のアメリカへの金貸し国であるわが日本にも大波がやってくるのでしょう。そのときの中国の出方も含め、それなりの準備が今から必要ではないでしょうか。
 政治家も官僚も、既得権益にがんじがらめになっていて、多極化へ向かうこの変化のスピードにはついていけそうにも無いので、我々一人一人がしっかりしないといけないように思われます。ここは一つ、可能な限り身近な者同士で力を合わせて、この難局を乗り切っていきたいものです。

(太字は全て引用者)

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by darsana-te2ha | 2008-08-26 17:28 | 世界情勢


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